私が6歳のときに中耳炎で入院してお母さんに傷つけられた話
これはまだ私が6歳になりたての、幼稚園児のころのお話し。
当時の私は今と変わらずつぶらな瞳を持つ可愛らしさ全開の子だった。
家族は今では想像できないほどに私に溺愛していた。
そんな家族の中でも一際私に没頭していた人物、それがお母さんだ。
そんなお母さんが当時6歳の私の脳に、生涯忘れ去られることのない
記憶を焼き付けた出来事を書いていきたい。
中耳炎で入院することになった僕
私は昔から病弱。頭も悪いけれど耳は特に悪く、中耳炎を繰り返していた。
そして、中耳炎を治すための手術を行うため、病院に入院することとなったのだ。
記憶がある中で人生初の入院。
入院初日には親がプレゼントと言いながら、ゲームボーイ本体と、
ポケモンGOの火付け役となる赤と緑を買ってきてくれたのだ。
<何で青は無いんだ…。>
冷静にそう思いながらも、凄く喜しかった。
ポケモンを渡された私は、誕生日でもないのにラッキーぐらいにしか考えていなかったが、
親からすれば、私を1人にさせるのがメッチャクチャ心配で、私が暇にならないように、
1人ぽっちになって泣かないように、気を紛らわせれるようにと。
一生懸命考えて買ってくれたのだろう。泣けるやん?
そして、お母さんは時間を気にしながら
お母さん「しょーき、夜になって寂しくなったら1階の公衆電話で電話してくるんだよ?番号は紙に書いといたから。」
と言った。
しかし、当時6歳だった私に夜お母さんがいない寂しさなど分かるはずもなく、
「うん。だいじょぶ」と、返事をした。
お母さん「もう行かなかんけど、本当に大丈夫?ここに紙置いといたからね?ここにテレフォンカードあるからね?」
記憶力がないのかと思うほどに、同じことを連呼するお母さん。
そして4~5回、紙とテレフォンカードの位置を丁寧に説明してくれたお母さんは、
テレフォンカードを持って家に帰って行った
夜になってお母さんがいない
夕方19時頃だったろうか。
いったんポケモンを止めて、トイレに行った私。
先ほどまで明るかった空が暗くなっていることに気づき、急に恐怖が襲ってきた。
<怖い。寂しい。1人だ。お母さん…お母さんどこ?>
そんな思いに駆られた私はお母さんの声を聞いて安心するために、
何度も丁寧に説明された紙とテレフォンカードを探した。
紙は丁寧に説明された位置にあったが、テレフォンカードはなかった。
お母さんが持っていったテレフォンカードを無くしてしまったと思い、私は私を責めた。
そして、お母さんに会いたくて大泣きした。
すると、大泣きしている私の声を聞いた隣のベッドにいたお婆さんが声をかけてくれた。
そして、泣きじゃくりながら訳を話すと、テレフォンカードを貸してくれたのだ。
人の温かみに触れて、お母さんの声を聴く
テレフォンカードを借りた私は急いで1階に行き、公衆電話にテレフォンカードを入れると、
紙に書かれた番号に電話を掛けた。
お母さん「はい。」
お母さんの声を聴いた私はまたもや大泣きした。
お母さん「しょーき!?どーしたの!大丈夫?何で泣いてるの?何かあった?」
お母さんは私の泣き声を聴いて、たたみかけるように質問をしてきた。
子供が大泣きしながら電話をかけてくるんだから、心配したんだろう。
私は泣きじゃくりながらも、テレフォンカードを無くしてしまったことをお母さんに伝えた。
お母さん「テレフォンカード貸してもらえたの?良かったね~。心配しちゃったじゃんか~。」
と、お母さんも理由がハッキリして安心してくれた。その時だった。
お母さん「あ、ポケットに入っとったわ~。ごめんごめん。アッハッハッハッハッハ」
公衆電話から漏れまくるお母さんの笑い声に6歳の私は、
深く深く取ることのできない傷がついたのだった…。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。