かめしめHSのブログ

最高の暇潰しを目指して

ゲームセンターでメダル10,000枚獲得した私の結末その2

ゲームセンター

10,000枚を手にした大富豪

とめどなく出てくるメダル。周りからの称賛の声。全てが心地よかった。
今までの苦労が報われたと言わんばかりに、私はその時間に酔いしれていた。
すると、千手観音のごとく腕が伸びてくるではないか。

周り「これだけあるならいいじゃん。ねえ、ちょうだいよ」

そんな言葉とともに、一緒にメダルを拾ってきた同志たちが、次々と私のメダルを盗っていく。
なぜかゲームセンターでしか見たことない子まで盗っていく
宝くじを当てた人は搾取されると聞いていたが、予想以上だった。
あまりにも必死な形相のみんなの顔に、当てた感動よりも恐怖が強かったことを覚えている。

それでも9,800枚は守ることができた。もしお金に換算できれば980,000円だ。
お小遣い100円の私にとってこれは、ドリームジャンボが当たったぐらいの破壊力である。
先ほどまで地べたを這っていた私がその店一番の大富豪に名乗り出たのだ。

しかし、宝くじで高額当選を果たせば「【その日】から読む本 突然の幸福に戸惑わないために」という、
急にお金持ちになって、色んなものを失わないように心を整理してくれる冊子があるが、
ゲームセンターには10,000当たろうが、当然そんなものは用意されていない。

私は、恐怖心から解き放たれた後、興奮で自分自身を抑えることはできなかった。
自転車での帰り道、ずっと笑っていた。家に着くなり、お母さんに自慢した。
お父さんが帰ってくるなり、お父さんにも自慢した。
自分の成果を自慢したくて、褒めてほしくて…誰かに言いたくて仕方がなかった。

次の日も私の熱が冷めることはなく、連日アピタのゲームセンターに通った。
ゲームセンターに行けば10,000枚を引いた史上3人目の子と呼ばれ、
周りの人がみんな、私を尊敬しているような感覚に陥った。
そして、メダルを必死になって拾っている人を見て、鼻で笑った。

SHOKI「私は彼らと違う」

まるで、地べたに顔をくっつけ落ちてるメダルを探した過去などなかったかのように、威張り散らした。

やがて数日が経ち、そんな興奮も少しだけ冷静になった私は、ふと周りを見てみた。
すると、ほとんどの友人がいなくなっていることに気付いたのだ。
一緒にいる子といえば、富豪か私のメダルを狙っている子だけだった。

私はあれほどまでに望んだ大富豪になれたにも関わらず、全く幸せではなかった
声をかけてくれる子は以前と比べ多かったが、なぜか孤独だったのだ。

心の大富豪

孤独に包まれ楽しみを見つけ出せなかった私は、しばらくアピタに行くことを止め、
近所の子とよく遊ぶようになった。鬼ごっこやかくれんぼ、秘密基地作りに、任天堂64。

SHOKI「アピタに行かなくてもこんなにも面白いって思えるのは何でだろう」

充実する毎日にゲームセンターのことなど、ほとんど忘れてしまっている自分を不思議に思った。
そして、1つの答えに辿り着いた私は、後日近所の子たちとアピタのゲームセンターに向かったのだ。
持っていたメダルを全部、皆と使うために。

私は、ゲームセンターのポーカーで10,000枚を当てたからこそ、
自分自身が汚い人間になれ、そのことに気づくことができた。
そして最終的には誰かと一緒に楽しむことが、充実感を得られるんだと学んだ。

それから約十数年経った今、私はまたお金を稼ごうと頑張っている。
しかし、お金を手にしてもしなくても、私は心の貧民にはならない。

アピタのゲームセンターが私に心の大富豪のなり方を教えてくれたから…。

最後までご覧いただきありがとうございました。